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時代背景

たった一つの地球規模の停電によって分断された旧暦と宇宙新暦。

停電直後同時多発的に勃発した戦争によって地表は壊滅的なダメージを受けてしまう。残された人類は、後にその地球規模の電力消失はとある大国が行った禁断の実験が原因だったと突き止める。

 

施設のほとんどが跡形もなく消え去り、実験は失敗に終わったと思われていた。しかし一人の学者が瓦礫の底から僅かな成功の欠片を拾い上げる。

流体の中で緩く結びつき、まるで動物の組織のような形を成す金属は、それまで地球上に存在したどれとも同じではなかった。それを素子として利用しようと当時の誰が思いついたのだろう、後に世界を変貌させるー従来の量子コンピュータとは一線を画すー超演算機「ブレンコア」が産声を上げたのもこの時だった。

 

BCの誕生によって隣接する宇宙(高次元宇宙)の存在を突き止めた人類は、これを介する事でより遠い場所への瞬時の移動が可能になった。折しも深刻な環境汚染に悩まされていた人類に、宇宙への入植を加速させるきっかけを作った。

 

より遠い星への行き来が可能になり、諸惑星の資源開発が進むにつれ入植の環境も整っていった。そして宇宙で生まれ宇宙で死んでいく者が当たり前になった頃、今度は各所で独立の気運が高まりはじめる。戦争の傷跡から復興を目指し飛び出したはずの宇宙が資源争奪の戦場と変わる時代、宇宙大戦期の始まりだった。

 

兵器の火力が軒並み増していく中、それらから領土を守るべく再び注目されたのが高次元宇宙だった。移動のためのトンネルから空襲防壁に応用する術はBCの演算をもってすれば比較的容易に手に入った。

現宇宙を完全に分断し、光すら通さぬ鉄壁の壁。空間の絶対領域でしか作り出すことのできない高次元の防壁は、専守防衛の鑑ともいえる素晴らしい出来栄えだったが、やがて人類はそれを武器として攻撃への転用を模索し始める。

 

それまでせいぜい通り抜ける事が精いっぱいだった高次元への長時間潜伏を可能にし、更には現宇宙を巻き込んで己に都合のいい戦闘領域とする最悪の兵器、重機歩兵の誕生である。

 

 

火力に任せ星を砕くほどに膨れ上がった砲台を抱え、身動きのとれなくなっていた宇宙戦艦。代わり数を増やし戦争の主役となった重機歩兵。やがてこれらの所有数に応じて太陽系に新たな国境が生まれる。

 

すでに資源は枯渇し、宇宙開発の恩恵に縋るしか術のなかった地上の列強国は、互いに身を寄せ合うのが精いっぱいだった。地球連邦国軍の前身、地球連合軍の誕生である。

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